
投手と審判員の和解を演出した公認野球規則4.01
今夜は“メンバー表交換ついての”の「だからどうなの話し」。
メジャー監督は『Official Baseball Rules(公認野球規則)』の4.01を読んでいたのだ。
2010年6月2日、タイガース対インディアンス戦。タイガースのガララーガ投手は9回2アウトまで一人の打者も出塁させないでいた。
27人目の打者インディアンスのドナルド選手は一・二塁間にゴロを打った。一塁手カブレラはゴロをさばいた。ガララーガ投手が一塁にカバーに入った。カブレラはガララーガにトスした。球場いた誰もが完全試合成立だと思った。
だが、一塁塁審ジョイスはセーフと判定。監督が抗議したが判定は覆られなかった。
試合後ジョイス審判員はビデオを見て誤審であると認めた。だが、完全試合は成立しなかった。
翌日、ジョイス審判員は球審で出場した。試合が始まる前にメンバー表が交換される。
「公認野球規則4.01 1人ないし数人の審判員は、試合開始予定時刻の5分前に競技場に入り、ただちにホームに進み、両チームの監督に迎えられる。(a)と(b)ホームチーム、ビジティングチームの監督、または監督が指名した者が、球審に2通の打順表を手渡す」となっている。
日本の野球もこのルール通りにメンバー表を交換している(写真)。日本では監督がメンバー表を審判員に渡している。
このとき、タイガースの監督リーランドはガララーガにメンバー表を審判員に渡すように指名した。ジョイス球審はガララーガからメンバー表を受取った。ことはそれだけで終わらなかった。
ガララーガ投手はジョイス球審と無言で握手を交わした。ジョイス球審は涙をこらえて目頭を押さえた。それからガララーガの右肩を叩いた。観客は二人の姿を拍手で暖かく讃えた。
タイガースのリーランド監督は公認野球規則4.01の「監督が指名した者が、球審に2通の打順表を手渡す」を読んでいたのだ。「監督が指名した者」を使って完全試合を成し遂げられなかった投手と誤審を認めた審判員の和解を演出したのだ。メジャーの監督はさすが違うなと思った瞬間だった。
こういう演出を日本の監督はできなのでは……。それは恐らく4.01を読んでいないから。
というわけで、今夜もだからどうなの話し。