「鎌倉老童軍」の総監督の久米正雄は夏目漱石の門人。夏目漱石は、野球好きな正岡子規と東大予備門で同窓生。ならば夏目漱石も野球について何か書いているのではないかと探したらあった。

『吾輩の猫である』の第八章に苦沙弥先生宅の向かいの落雲館中学校生徒がわざと先生宅の庭にボールを打ち込む場面。これが面白い。ちょっと引用(岩波書店『漱石全集』第二巻 吾輩は猫である下)。

「ダムダム弾(私注:これはボールのこと)を右の手に握って擂粉木(すりこぎ)の所有者に抛(ほう)りつける。ダムダム弾は堅い丸い石の團子(だんご)のようなものを御丁寧に皮でくるんで縫い合わせたものである。擂粉木(すりこぎ)をやっと振り上げて、之(これを)を敲(たた)き返す。たまには敲き損なった弾丸が流れて仕舞うこともあるが……」。

その流れて仕舞うボールが苦沙弥先生の庭に飛んでくる。無断でそのボールを落雲館中学校生徒が何度も取りに来る。先生は生徒の振る舞いに激高する。これが八章の物語。

今日も審判員のトピックスでなく余談。