本塁打とボールデッドと球審がニューボールを投手に渡す
門田博光が本塁打の魅力について「打ったあと自分だけを見つめてくれる一瞬があるでしょう。自分一人で流れをとどめることができる。全員が見てくれている何ともいえない」(NHK『ある野球人の死』より)。
この言葉を聞いたときにへそ曲がりの私は本塁打の「ボールデッド」について語っていると思った。「自分一人で流れをとどめることができる」本塁打はプレイを「一瞬中断」するのである。打者の本塁打を打った高揚感は野球規則の「ボールデッド」のことなのだ。
だから本塁打を放った打者が本塁ベースを踏むまで投手にニューボールを渡してならないのだ。もし、打者が例えば二塁ベースを踏み忘れていて、打者がホームベースを踏む前にニューボールを渡していたら二塁空過した打者をアウトにしようとしても本塁打はボールデッドだから打者を空過アウトにできない。
だから球審は打者がホームベースを踏んでからニューボールを投手に渡すのだ。