自分の仕事をすることがチーム愛。

4番打者が逆転さよならホームランで勝利。野球場でこのような感激する現場に出会う機会は一生に何回もない。

古い話になるが、2001年8月3日。スワローズ対ドラゴンズ戦、9回裏。点数は3対4。2アウト。ランナーなし。ここで負けると首位転落になる。 ここからドラマが始まった。

 

2番宮本選手がライト前ヒット。3番稲葉選手がセンター前ヒット。ランナーは1塁と3塁。そして4番ペタジーニ選手がライトスタンドにさよならホームランで、6対4と逆転で勝利をもぎ取る。

 

粘ってライト前にヒットを打った宮本選手は「とにかく塁に出ることだと粘った」と言う。稲葉選手は「とにかく後ろのペタジーニにつなぐごうとコンパクトにセンター返しをした」と言う。そして、4番ペタジーニは「ボールを強く叩くことだけを考えた」と言う。

 

負ければ、首位転落。9回2アウトランナーなしという絶体絶命の局面で、逆転勝利を実現するエネルギーは、それぞれが自分の役割を自覚し、その仕事をきちんとやり遂げようとする精神力だと思う。

 

宮本は粘って塁に出ること。稲葉は次につなぐこと。ペタジーニはボールを強く叩くこと。それぞれの精神力が和になって、チームの勝利につながる。こういうチームは強い。この精神力をチーム愛という言葉に置きかえてもよい。

 

スワローズの若松監督は選手ひとり一人に「このチーム愛を定着させるのに3年かかった」と言う。