1回に1番打者が満塁本塁打を放った! そんなことあるの?

1958年(昭和33年)から2015年(平成27年)までの日本野球機構の公式スコアシートを野球殿堂博物館で閲覧できるようになった。

 そこで、プロ野球史上たったひとりの「Only One」選手と初記録の「First Play」選手を見つけ、そのプレイの内容をスコアシートで読み解いた報告をする。

 

初回に1番打者が満塁本塁打を放った。そんな記録があるのだろうか? それがあるのだ。1990年8月7日日本ハム対オリックス17回戦(前橋球場)でプロ野球珍記録の1番打者田中幸雄が1回に満塁本塁打を放っているのだ。その軌跡を追ってみよう。

1回1番打者田中幸雄は左中間2塁打を打った。2番広瀬哲朗は一塁ゴロで田中を三塁に進塁させる。3番打者ブリューワは四球で一死一・三塁。4番ウィンタースはライト前安打で三塁走者田中は本塁生還し、ブリューワは三塁まで進み再び一死走者一・三塁となった。5番大島康徳が中堅安打でブリューワは本塁生還し、ウィンタースは二塁に進み、一死走者一・二塁となった。6番中島輝士中堅安打でウィンタースは本塁生還し、大島は二塁に進み、また一死走者一・二塁となった。ここで7番小川皓市は四球を選び一死満塁となって、8番田村藤夫、9番嶋田信敏が連続四球で5番大島、6番中島が本塁生還した。

まだ一死満塁は続き、ここで打順が一巡して1番打者の田中幸雄が打席にたち2-2ストライクから6球目を左翼観客席に本塁打した。

この回に日本ハムは9得点。オリックス佐藤義則投手は1回1/3でマウンドを降板した。田中幸雄は1イニングに2塁打と本塁打を記録した。

因みに9得点を確認した審判員は寺本勇球審であった。