広島正田耕三の1試合6盗塁のプロ野球記録の陰で

名古屋山崎善平が1952年6月3日名古屋対大洋ダブルヘッター第2回戦で1試合6盗塁した。

これが初のプロ野球1試合最多盗塁記録で二度目の記録は1989年10月16日の広島対中日26回戦(広島球場)で広島正田耕三が同じく1試合6盗塁をマークした。

この6盗塁の内容をスコアシートから読むと記録以外のもう一つのドラマがあった。

1回裏正田耕三は、2球目一塁ゴロを中日一塁手川又米利の失策で出塁すると2番打者の野村謙二郎への初球に二盗成功、3球目を捕手が捕逸して三塁進塁し2球後の野村謙二郎中堅犠牲飛球で生還した。

2回裏一塁内野安打で出塁し2番打者の野村謙二郎への2球目に二盗、3番西田真二への2球目に三盗すると捕手が三塁手へ悪送球で生還した。

5回裏初球を右前安打で出塁すると1回裏と同じく2番打者野村謙二郎への初球に二盗成功するとその1球後で三盗成功する。次の杉本正投手の暴投で生還。

正田耕三はこの回5投球の間に本塁生還している。

5回までに5盗塁成功し、中日星野仙一監督は我慢できず捕手を交代した。

7回裏正田耕三は3球目を中前安打で出塁し2番打者の野村謙二郎への2球目に二盗成功、イケイケと4球目に三盗を仕掛けたが失敗し新記録はならなかった。

アウトにした捕手は中村武志で5回までの捕手は山崎武司。

この試合で山崎武司は5盗塁を許し、2失策1捕逸を記録し1WP。これ以後山崎武司は捕手失格で外野手となる。

正田耕三の5盗塁が山崎武司の後の野球人生を変えたというわけだ。

因みに2度目のプロ野球盗塁記録を判定した審判員の二塁塁審は柏木敏夫、三塁塁審は久保友之。